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【箱根特集】  一食入魂リゾートグルメ

一食入魂リゾートグルメ

陶芸や書、絵画で名を馳せた北大路魯山人は、希代の美食家としてもつとに有名。
芸術家と料理人のふたつの顔を併せ持つ魯山人は、その本領を当意即妙とし、その場にうまく適応したすばやい対応で創作にあたった。
とりわけ料理では、「食材の持ち味を生かす」ことを哲学のひとつとし、旬の素材にあまり手を加えず味わうことを好んだ。

 当意即妙― それは田代様ご夫妻が、軽井沢、勝浦、伊豆などのポイントバケーション(以下PV)で滞在した際の食事の愉しみ方にも通じるところがある。
地場産の野菜や魚介類を買出して旬の味をすばやく調理し、その場でなければ味わえない味覚を堪能する。
それだけではなく今回のPV箱根では、周辺の木立の中を散策しながら自然に植生する山菜を採集し、奥様が手際よく調理して食事のメニューに厚みを加えた。

 「このあたりをよく見てみると、ツクシ、ミツバ、フキ、あけびのつるなどが結構あるのね。それを採ってきて手作りの調味料で調理したのよ」と、いとも簡単に答えるが、野生の食材を即座に見分ける目は、グルメならではの選択眼と思われる。


PVで訪れる地の産物を食し、心豊かなリゾートグルメを満喫する田代様ご夫妻。しかし、結婚して暮らし始めた頃は、経済的には厳しかったと振り返る。
  「私が25歳で女房が24歳の時に結婚しました。年齢が若かったし、当時は社会全般的に給与水準が低くかったので、テーブルなどの家財を購入する余裕がなく、部屋には何もなかった」とご主人。
実際、生活費を差し引くとわずかな金額しか手元に残らなかった。

しかし、わずかな家具しかない部屋でご夫妻は、人生を強く、おおらかに生きるための重要な教訓を得た。余命を宣告される程病弱だった一人息子がご夫妻の愛に育まれたくましく成長し、生活面での逆境も家族3人で乗りこえてきたことで、物質的な豊かさよりかけがえのない時間を大切な人とどう過ごすかという心のありようこそ大切であると。

  つねに前向きに物事を捉え、一歩ずつ着実に歩んできたご夫妻の人生行路。そこにはいつもお互いを敬い、尊重し合う心のメッセージが行き交っている。

  田代様ご夫妻には、結婚当初からお互い心に決めていたポリシーがあった。
 「若い時の苦労は進んで買ってもいい。そして人生は自由であること、幸せであること、そして楽しむものである」という。
 たとえば、八百屋で大根を買う時は葉っぱが切り落とされてないものを買ってくる。葉っぱはアゲで煮浸しにしたり、油で炒めたりしておかずの一品になるからだ。キャベツは、周りの擦れた部分も捨てないで買う。そこは栄養価が高いのだ。また、パン屋ではパンのミミだけが袋に入ったのを買ってきて、味付けや調理方法を変えて食した。

 しかし、「食事代を抑えても、決して食事のメニューはおろそかにしなかったの。いろいろ考えて、焼き物、煮物、酢の物など必ず4、5品のおかずを用意したの」と、当時を懐かしむ奥様。
 苦労を苦労と思わないお2人だからできた、創造的な食事ともいえる。そして、こういった食の創意工夫を積み重ねてきた人生があってこそ、ご夫妻のグルメは名実ともに本物となったのだろう。


奥様が採集した山菜の手作りの料理、持参した行者ニンニクのしょうゆ漬け、そしてホタルイカの沖漬けや、山葵のしょうゆ漬けなど盛沢山のメニューがテーブルへ並ぶ。そこへ大皿に盛りあげられたメインディッシュのミルクガニが運ばれた。
 まずは、お互いの日頃への慰労と万端整った料理に感謝を込めて、PV箱根の季節限定ビール「桜」で乾杯。

 奥様が一食入魂で作り上げた数々のメニューに舌鼓を打ちながら、ご主人の表情には満ち足りた微笑みが浮かぶ。ともすれば面倒となり、マンネリ化する日常の食事も、PVでは地産の食材を生かした料理はもとより、環境の変化も相まって新鮮な食の喜びを味わうことができる。

 夕暮れから幕を開けたご夫婦の宴は、お2人が結婚した頃の思い出話から、マイホームづくりの話、そして全国各地の旨いものを食べ歩いたグルメ紀行の話と、尽きることがない。語り語られながら、懐かしい話題も肴に加え、美味を食す。宴の仕上げは、テーブルを変えてワインをたしなむ。そして、いつとはなしにあたりが夜の帳に包まれる。
 おいしいものだけを食し、寛ぎ、歩む速さで移り変わる時に寄り添い、ご夫婦の宴は幕を閉じた。

グルメご夫婦のPVでは、いつも地産の食材にこだわりを持つ。伊豆では魚介類、軽井沢では四季の野菜や果物。そしてその行き先で、予想外の美食に出会うこともあるという。

 「ミルクガニは伊豆へ行った時に知ったんですよ。それに勝浦へ行った時は宮内庁にも納めているという木戸泉というお酒を見つけましたね。このお酒は10年寝かせて古酒にすると深い味わいがあって美酒になるので、自宅で寝かせてある」と、ご主人がグルメの嗅覚で発見した成果を語る。
すると間髪を入れず奥様が、「主人が60歳の時に買ったから、10年寝かして70歳になった誕生日にあけるの」と、いずれ古酒をお2人で味わう楽しみに満面笑みを浮かべる。

 また、PVでの食事は、「2人だけなら量は多くいらないが、ある程度作らないと味が良くならない」として、食卓はいつも大いに賑わうが、すべてをおいしく食されるのだという。

 お2人にとってのPVの魅力は、ホテル滞在のようにパターン化されていない自由さ。勝手に食事したり休息したり、自分たちの好みに合ったステイが心おきなくできること。そして、この自由度の高さこそ大切な時間を過ごすために最も重要な価値であると、満足気に語られた。


田代憲利様、節子様ご夫妻
ステイリゾート歴5年目 年間500ポイントホルダー

会報誌stayle 2009 vol.23 より